2016年11月20日日曜日

投資観 第42回 1948年の米国の景気後退とイールドカーブ

前回は、1953年8月から始まる米国の景気後退について、米国債イールドカーブとの関係を調べました。

今回は、さらに、時代を遡って、1948年12月から始まる米国の景気後退について、米国債イールドカーブとの関係を調べてみます。

この時、景気後退入りの3年前の1945年11月から景気後退入り直前の1948年11月までの3ヶ月既発債の平均利回りは、0.6%でした。

米国債3ヶ月既発債と同新発債の過去の利回り差の分布を調べると、既発債が0.6%の場合、新発債との利回り差は、殆どゼロでした。

従って、上記の期間の米国債3ヶ月既発債の利回りを、そのまま適用して、イールドカーブを作成したのが、下のグラフとなります。


上のグラフを見て分かるように、1948年12月から始まる米国の景気後退に対して、イールドカーブの逆転は、発生していません。

従って、この時期においても、前回と同様に、米国債イールドカーブは、景気後退の先行指標として機能していなかったと言えます。

さらに、上のグラフで特徴的なのは、1945年11月から1945年7月にかけて、ほぼ、横に一直線となっていることです。
この期間は、長期金利と短期金利が、政策的に固定されていたのかもしれません。
金利が市場で決まらない状況にある場合、イールドカーブが景気後退の先行指標となることはありません。

次回は、さらに、時代を遡って、1945年3月から始まる米国の景気後退について、同様の分析を行ってみたいと思います。

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