・欧米に共通する事象として、コロナショック期に家計部門の資金余剰が急拡大し、その後ウィズコロナ期にかけて資金余剰が縮小傾向にあることが挙げられる。また家計の資金余剰に呼応する形で政府部門の資金不足が急拡大し、その後は縮小傾向を辿っている。
・日本でも、欧米と同様にコロナショック期の家計資金余剰の拡大、政府資金不足の拡大が観察できる。その後の推移はユーロ圏と類似しており、家計部門では「過剰貯蓄」の取り崩しがあまり進まず、政府資金不足(財政赤字)もそれほど縮小せず、海外部門で資金不足(経常黒字)が縮小傾向にあるという特徴が見られる。
・欧米の貸出動向調査によれば、利上げや3月に発生した米シリコンバレー銀行の破綻によって銀行の貸出態度は厳格化している。したがって、今後、貸出や投資の減速が鮮明になる可能性がある。
半面、企業が収益力を維持し、投資の減速が緩やかなものにとどまる可能性も否定できない。
・今回の短観では、景況感の幅広い改善や堅調な設備投資計画、価格転嫁の継続や予想物価上昇率の高止まりが確認されており、日銀による政策修正を後押しする材料になり得る。
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