2016年10月16日日曜日

投資観 第39回 1960年の米国の景気後退とイールドカーブ

前回は、公開情報に基づいて、1930年代から2010年代までの米国債イールドカーブ(調整前イールドカーブ)を作りました。

今回から、1960年から時代を遡って、利回り調整を行いながら、各景気後退におけるイールドカーブの推移を調べて行きます。

まず、1960年5月から始まる米国の景気後退について、米国債3ヶ月既発債の平均利回りを、求めました。
景気後退入りの3年前の1957年4月から景気後退終了から半年後の1961年8月までの平均利回りは、2.9%でした。

米国債3ヶ月既発債と同新発債の過去の利回り差の分布を調べると、既発債が2.9%の場合、新発債は、0.07%低く出ます。

従って、上記の期間の米国債3ヶ月既発債の利回りを、0.07%下方に調整して、イールドカーブを作成したのが、下のグラフとなります。


上のグラフを見て分かるように、1960年5月から始まる米国の景気後退に対して、イールドカーブの逆転は、発生していません。

従って、この時期において、米国債イールドカーブは、景気後退の先行指標として機能していなかったと言えます。

次回は、さらに、時代を遡って、1957年9月から始まる米国の景気後退について、同様の分析を行ってみたいと思います。

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