2015年10月11日日曜日

投資観 第9回 1990年の米国の景気後退と住宅統計・ISM指数との関係

前回は、1990年の米国の景気後退とイールドカーブならびに米国の株価の関係について、述べました。

今回は、1990年の米国の景気後退における、住宅統計などの動向を振り返ってみたいと思います。

以下のグラフは、米国の住宅統計の主要な指標である住宅着工戸数の、1988年1月から1991年12月までの12ヶ月移動平均の推移です。


住宅着工戸数は、この期間を通じて、全体的に右肩下がりで、目立ったピークは見られませんでした。
従って、住宅統計だけでは、この1990年の米国の景気後退の予測は、難しかったと言えます。

次に、米国の製造業の指標であるISM製造業業況指数の、1988年1月から1991年12月までの12ヶ月移動平均の推移を見てみます。

こちらも、目立ったピークは見られませんが、1989年5月以降、強気と弱気の分かれ目である50を下回る数値が続いていました。

例えば、ISM製造業業況指数が約6ヶ月間、50を下回った1989年末頃に、その時点で、右肩下がり(弱気)が継続していた住宅指標と合わせて総合的に判断して、近い将来の景気後退を予測することが出来たかもしれません。

一方、イールドカーブに関しては、既に、1989年6月12日に、逆イールドが出現し、景気後退入りを示唆しており、その指標としての明確性は、住宅統計やISM指数よりも、優れていたと言えます。

次回は、米国の景気後退に、約8ヶ月遅れて、1991年3月から始まった日本の不動産バブル後の景気後退と、米国債のイールドカーブとの関係を、日経平均株価との関連で振り返ってみることにします。


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