2015年10月18日日曜日

投資観 第10回 1991年の日本の景気後退と逆イールドとの関係

前回は、1990年の米国の景気後退と住宅統計、ISM製造業業況指数との関係について述べました。

今回は、1991年の日本の景気後退と、米国債のイールドカーブ(逆イールド)との関係について述べます。

以下のグラフは、1988年1月から1994年12月までの日経平均株価の月次終値の推移です。


青い長方形が日本の景気後退期間を表し、黄色い長方形が米国の景気後退期間を表しています。

日本がバブル景気の最中であった、1989年6月12日に米国のイールドカーブに逆イールドが出現し、その、14か月後に、米国は景気後退に入りました。

米国の景気後退入りから、さらに、7ヶ月遅れて、日本の景気後退が、1991年3月から始まりました。この景気後退は、不動産/株式バブルの崩壊を伴っていたため、32ヶ月間という長期で深刻な景気後退となりました。

日米の景気後退の重複期間は、僅かに一か月でしたが、これらを、日米連動型の景気後退と見なすと、逆イールドの発生は、日本の景気後退の先行指標としても、有効に機能していたことが分かります。

ここで、米国債のイールドカーブを利用した日本株の投資パフォーマンスを、逆イールドを検知した1989年6月に、日経平均を売却した場合(3万2948円)の機会損失と損失回避の差として、以下のように算出してみます。

機会損失・・・景気後退入り前の最高値である1989年12月の3万8915円で、売却しなかったことによる利益機会の損失割合。

  (38915 - 32948) ÷ 32948 × 100% = 18.1

損失回避・・・景気後退期間中の最低値である1992年7月の1万5910円まで保有しなかったことによる損失の回避の割合。

  (15910 -  32948) ÷ 32948 × 100% × (-1) = 51.7

投資パフォーマンス = 損失回避 - 機会損失 = 33.6

日本がバブル景気の崩壊だったのに対して、米国ではバブルが発生せず軽微な景気後退だったため、日経平均の投資パフォーマンス(51.7)は、米国株のS&P500指数の投資パフォーマンス(9.1)を大きく上回っています。



今回まで、米国と日本の景気後退の先行指標として、イールドカーブの有効性について述べてきました。次回からは、米国の景気後退の終了の先行指標として、CABについて説明します。

0 件のコメント:

コメントを投稿