2015年11月1日日曜日

投資観 第12回 CABとイールドカーブを指標に使った米国株投資収益

前回は、過去三回(1990年~2008年)の米国の景気後退の終了と、CAB(Chemical Acitivity Barometer:化学活動バロメータ)との関係について述べました。

今回は、CABとイールドカーブを売買の指標に利用した場合の、米国株の投資収益について、調べてみたいと思います。

以下のグラフは、1982年1月から2009年12月までの米国株のS&P500指数の推移です。



上のように、CABの底入れを確認した時期が、景気の底入れ時期とほぼ一致していることから、景気循環に即した株式投資が可能となります。即ち、CABの底入れを確認した時点から、次の逆イールド検知のタイミングまで株式を保持すれば、景気拡大期の株価上昇を享受し、さらに、景気後退による株価下落リスクを避けることが期待出来ます。

以下は、CABとイールドカーブを売買の指標に利用した場合の、1980年代から2000年代の景気拡大期及び合計の株式投資収益のシミュレーション結果です。数値は、全て、S&P500指数です。

【1980年代】
1982年10月(CAB)・・・133.7
1989年6月(逆イールド)・・・318.3
収益・・・318.3 - 133.7 = 184.6

【1990年代】
1991年4月(CAB)・・・375.3
2000年7月(逆イールド)・・・1430.8
収益・・・1430.8 - 375.3 = 1055.5

【2000年代】
2002年2月(CAB)・・・1106.7
2006年3月(逆イールド)・・・1294.9
収益・・・1294.9 - 1106.7 = 188.2

【合計】
184.6 + 1055.5 + 188.2 = 1428.3

また、以下の値は、1980年代から2000年代の全期間で、株式を買い持ちした場合の投資収益のシミュレーション結果です。

1982年10月(CAB)・・・133.7
2009年6月(CAB)・・・919.3
収益・・・919.3 - 133.7 = 785.6

このように、両者を比較すると、CABとイールドカーブを売買の指標に利用した場合の方が、全期間の買い持ちをした場合よりも、二倍近い収益を得られることが分かります。

次回は、日本の景気後退終了の先行指標について、考えてみます。



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