- 2022年12月時点
- 米国の景気後退期の比較
- 上段・・・NBER発表
- 下段・・・イールドカーブ基準(逆イールドの発生から鉱工業生産指数の底入れまでを景気後退期間とする。)
- 注1 逆イールドは、米国債10年債利回りと同3ヶ月債利回りのスプレッドの90日移動平均とする。
- 注2 鉱工業生産指数の底入れは、12ヶ月移動平均を用いる。
2022年12月17日土曜日
2022/12 米国・景気後退期の比較 NBER vs イールドカーブ
2022年12月13日火曜日
2021年11月29日月曜日
2021/11 日米景気循環の比較
- 内閣府,NBER
- 景気基準日付
- 2021年11月
- 日本の直近の景気基準日付
- 2018年10月(山)~2020年5月(底)~
- 米国の直近の景気基準日付
- 2020年2月(山)~2020年4月(底)~
2020年3月26日木曜日
景気後退入りと重要指標の変更
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、日本は2月、米国は3月に景気後退入りしたと考えられます。今後は、景気の底入れを早期に察知することが目標となります。
今後、最も重要度の高い指標(レポート)は、以下のようになります。
・街角景気の一致指数・・・日本の景気底入れを早期に察知する指標
・米・化学活動バロメータ(CAB)・・・米国の景気底入れを早期に察知する指標
また、重要度の低いレポートは、4月以降、順次、更新を停止していく予定です。
以上
今後、最も重要度の高い指標(レポート)は、以下のようになります。
・街角景気の一致指数・・・日本の景気底入れを早期に察知する指標
・米・化学活動バロメータ(CAB)・・・米国の景気底入れを早期に察知する指標
また、重要度の低いレポートは、4月以降、順次、更新を停止していく予定です。
以上
2018年11月23日金曜日
2018/10 日本と米国の景気循環
上のグラフは、1949年5月からの日米の景気後退期の推移です。
青色の棒グラフが米国の景気後退期間を表しています。 深緑色の折れ線グラフは、日本の景気後退期間中の日経平均株価の名目の上昇率(※)を示しています。 ※景気の山から谷までの株価の変化率
グラフを見て分かるように、1980年代までは、高成長とインフレの影響から、景気後退期間でも、名目の株価が上昇しているケースが多く見られました。また、米国の景気後退の影響もさほど大きく有りませんでした。
しかし、1990年代以降は、低成長やインフレの沈静化さらに金融及び為替の自由化によって、景気後退期に名目の株価が2~3割程度、下落する事が多くなっています。特に、米国の景気後退と日本の景気後退がほぼ連動し、株価にも大きな影響を与えていることが特徴的です。
日本の公式景気循環
内閣府 景気基準日付 |
2018年5月9日水曜日
2013年8月4日日曜日
日米の景気循環の比較 第24回 東証住宅価格指数
1.前回のまとめ
前回は、新規住宅資金貸付額の二番目の補完指標として、首都圏マンション契約率の有効性を、確認しました。
また、首都圏マンション契約率は、景気後退の先行指標として、単独でも有効性が高いことも確認しました。
首都圏マンション契約率は、新築マンションの売れ行きを表す指標でしたが、今回は、中古マンションの価格動向を示している東証住宅価格指数について、景気循環との関係を調べてみたいと思います。
2.東証住宅価格指数とは
東証住宅価格指数とは、首都圏の既存マンション(中古マンション)に関して、財団法人東日本不動産流通機構に登録された成約情報を活用し、同一物件の価格変化に基づいて算出された国内初の指数です。(東証のサイトより引用)
東証住宅価格指数は、日本の中古マンション市場の全体的な需給を反映すると考えられます。
3.東証住宅価格指数の推移
以下のグラフは、1993年6月からの東証住宅価格指数(首都圏総合指数)の推移です。
ノイズが少ないので、指数を加工せずにそのままプロットしています。
上のグラフから、不動産バブルの崩壊後、中古マンション価格は、約半分となり、2000年以降は、長期的になだらかなデフレ傾向が続いていることが分かります。
4.1997年の景気後退との関係
以下のグラフは、1997年から始まった景気後退(金融危機・アジア危機)と東証住宅価格指数との関係を表したものです。
景気循環とは関係なく、長期的に中古マンション価格のデフレ傾向が続いていたことが分かります。
前回に述べたように、新築マンションの成約率は、1997年4月からの消費税増税を前にした駆け込み需要で、1996年に大きくピークを付けましたが、中古マンションに関しては、駆け込み需要が小さかったことがグラフから読み取れます。
5.2000年の景気後退との関係
以下のグラフは、2000年から始まった景気後退(ITバブル崩壊)と東証住宅価格指数との関係を表したものです。
1997年からの景気後退の時と同様に、この時期も、景気循環とは関係なく、長期的に中古マンション価格のデフレ傾向が続いていたことが分かります。
また、この時の景気後退は、製造業が中心の局所なものであり、不動産や建設などの非製造業への影響が比較的に小さかったことも、変化に乏しかった原因の一つとして関係していると考えられます。
6.2008年の景気後退との関係
以下のグラフは、2008年から始まった景気後退(リーマンショック)と東証住宅価格指数との関係を表したものです。
見やすくするために、縦軸は、東証住宅価格指数から70ポイント控除して、プロットしてあります。
それまでの二回の景気後退とは異なり、2008年から始まった景気後退の前後で、東証住宅価格指数(中古マンション価格)は、景気循環と同期的な上下の動きを示しています。
おそらく、バブル期とその後のマンションブーム(1994年頃)に過剰となった中古マンションの在庫が適正な水準まで減少し、この時期には、需給バランスで価格が変動するようになっていたのだと考えられます。
この時期の東証住宅価格指数のピークアウトは、景気後退に5ヶ月先行し、その後のボトムは、景気後退終了後、3ヶ月後に付けています。
7.2012年の景気後退との関係
以下のグラフは、2012年から始まった景気後退(東日本大震災後の円高不況)と東証住宅価格指数との関係を表したものです。
見やすくするために、縦軸は、東証住宅価格指数から70ポイント控除して、プロットしてあります。
2008年から始まった景気後退と同様に、2012年の前に、東証住宅価格指数(中古マンション価格)は、景気循環に沿った動きを示しています。
前回に分析した首都圏マンション契約率(新築マンション契約率)と同様に、東証住宅価格指数(中古マンション価格)が円高不況の先行指標となっている可能性があるのは、興味深い点です。
この時期の東証住宅価格指数のピークアウトは、景気後退に16ヶ月先行し、その後のボトムは、景気後退終了後の5ヶ月後の時点でも、確認出来ません。
8.まとめ
東証住宅価格指数の特徴をまとめると以下のように列挙されます。
・消費税増税の前においても、中古マンションの価格指数である東証住宅価格指数には、大きな変化は見られない可能性が高い。→駆け込み需要は、新築マンションに集中的に向かう。
・現在の中古マンションの在庫水準は、ほぼ、適正であり、需給バランスで価格が決まる。従って、景気循環に同期的に、東証住宅価格指数が上下する。
・東証住宅価格指数(中古マンション価格)が円高不況の先行指標となっている可能性がある。
・東証住宅価格指数のピークアウトは、新規住宅資金貸付額や新設住宅着工戸数のピークアウトよりも、遅行する傾向がある。→新規住宅資金貸付額の補完指標としては、利用出来ない。
・実務面では、東証住宅価格指数の発表時期が、当該月の3~4ヶ月後とかなり遅れるために、投資判断に利用するのは、難しい面がある。
4.1997年の景気後退との関係
以下のグラフは、1997年から始まった景気後退(金融危機・アジア危機)と東証住宅価格指数との関係を表したものです。
景気循環とは関係なく、長期的に中古マンション価格のデフレ傾向が続いていたことが分かります。
前回に述べたように、新築マンションの成約率は、1997年4月からの消費税増税を前にした駆け込み需要で、1996年に大きくピークを付けましたが、中古マンションに関しては、駆け込み需要が小さかったことがグラフから読み取れます。
5.2000年の景気後退との関係
以下のグラフは、2000年から始まった景気後退(ITバブル崩壊)と東証住宅価格指数との関係を表したものです。
1997年からの景気後退の時と同様に、この時期も、景気循環とは関係なく、長期的に中古マンション価格のデフレ傾向が続いていたことが分かります。
また、この時の景気後退は、製造業が中心の局所なものであり、不動産や建設などの非製造業への影響が比較的に小さかったことも、変化に乏しかった原因の一つとして関係していると考えられます。
6.2008年の景気後退との関係
以下のグラフは、2008年から始まった景気後退(リーマンショック)と東証住宅価格指数との関係を表したものです。
見やすくするために、縦軸は、東証住宅価格指数から70ポイント控除して、プロットしてあります。
それまでの二回の景気後退とは異なり、2008年から始まった景気後退の前後で、東証住宅価格指数(中古マンション価格)は、景気循環と同期的な上下の動きを示しています。
おそらく、バブル期とその後のマンションブーム(1994年頃)に過剰となった中古マンションの在庫が適正な水準まで減少し、この時期には、需給バランスで価格が変動するようになっていたのだと考えられます。
この時期の東証住宅価格指数のピークアウトは、景気後退に5ヶ月先行し、その後のボトムは、景気後退終了後、3ヶ月後に付けています。
7.2012年の景気後退との関係
以下のグラフは、2012年から始まった景気後退(東日本大震災後の円高不況)と東証住宅価格指数との関係を表したものです。
見やすくするために、縦軸は、東証住宅価格指数から70ポイント控除して、プロットしてあります。
2008年から始まった景気後退と同様に、2012年の前に、東証住宅価格指数(中古マンション価格)は、景気循環に沿った動きを示しています。
前回に分析した首都圏マンション契約率(新築マンション契約率)と同様に、東証住宅価格指数(中古マンション価格)が円高不況の先行指標となっている可能性があるのは、興味深い点です。
この時期の東証住宅価格指数のピークアウトは、景気後退に16ヶ月先行し、その後のボトムは、景気後退終了後の5ヶ月後の時点でも、確認出来ません。
8.まとめ
東証住宅価格指数の特徴をまとめると以下のように列挙されます。
・消費税増税の前においても、中古マンションの価格指数である東証住宅価格指数には、大きな変化は見られない可能性が高い。→駆け込み需要は、新築マンションに集中的に向かう。
・現在の中古マンションの在庫水準は、ほぼ、適正であり、需給バランスで価格が決まる。従って、景気循環に同期的に、東証住宅価格指数が上下する。
・東証住宅価格指数(中古マンション価格)が円高不況の先行指標となっている可能性がある。
・東証住宅価格指数のピークアウトは、新規住宅資金貸付額や新設住宅着工戸数のピークアウトよりも、遅行する傾向がある。→新規住宅資金貸付額の補完指標としては、利用出来ない。
・実務面では、東証住宅価格指数の発表時期が、当該月の3~4ヶ月後とかなり遅れるために、投資判断に利用するのは、難しい面がある。
2013年7月28日日曜日
日米の景気循環の比較 第23回 首都圏マンション契約率
1.前回のまとめ
前回は、日本の住宅投資の主要指標である新規住宅資金貸付額を、補完する指標として、日本銀行が行っている主要銀行貸出動向アンケート調査の住宅ローン資金需要判断D.I. が、有効であることを確認しました。
今回は、別の補完指標としての首都圏マンション契約率の有効性を、確認してみます。
2.首都圏マンション契約率とは
マンション契約率とは、民間の不動産経済研究所が、首都圏や近畿圏における新築マンションの月間契約率を集計して発表しているもので、新築マンションの売れ行きを示す、基本的な指標となっています。
特に、首都圏マンション契約率は、日本のマンション市場の全体的な需給を示す主要な指標であると言えます。
3.首都圏マンション契約率の推移
以下のグラフは、1994年12月からの首都圏マンション契約率の推移です。
ノイズを減らすために、12ヶ月移動平均を求めて、表示しています。
比較のために、同じ期間での新規住宅資金貸付額の推移を求めたものが以下のグラフです。
2008年以降のグラフの形状は、やや、相違していますが、2008年以前のグラフ形状と、ピークの位置は、よく似ています。
また、新規住宅資金貸付額の方は、1994年4Qのピークのように、一回の景気循環の中で、長期金利の変化に同期した小さな循環を見せるのに対して、首都圏マンション契約率の方には、そのような小さな循環が無く、一回の景気循環の中で、(消費税増税時を例外として)ほぼ、一回の循環を示しています。
これは、新規住宅資金貸付額の方は、金利で制御される資金量の総額であるのに対して、マンション契約率の方は、需要と供給の間の相対的な強さを示す比率であることに関連すると考えられます。
すなわち、金利の変化によって、分母と分子の需要と供給の両方が同じ方向に動くために、金利の影響が表面化し難いと考えられます。
4.データポイントの比較
【首都圏マンション契約率】
1996年8月・・・83.77% 1回目のピーク =>1997年からの景気後退の先行指標
2006年4月・・・83.10% 2回目のピーク =>2008年からの景気後退の先行指標
2011年2月・・・78.95% 3回目のピーク =>2012年の景気後退の先行指標(仮説)
【新規住宅資金貸付額】
1996年2Q・・・45,507 1回目のピーク
2006年2Q・・・44,536 2回目のピーク
3回目のピークは無し
上のように、1996年と2006年は、ほぼ、同じ時期に両者がピークアウトしています。
すなわち、首都圏マンション契約率は、1997年からの景気後退(金融危機・アジア危機)と、2008年からの景気後退(リーマンショック時)の先行指標として、新規住宅資金貸付額と同様に有効に機能していたと考えられます。
(さらに、首都圏マンション契約率の3回目のピークアウトは、東日本大震災後の景気後退の先行指標としても機能しているように見えます。)
また、首都圏マンション契約率は、前月のデータが翌月に発表される月次指標であるため、四半期指標である新規住宅資金貸付額よりも、先行して、ピークアウトを確認することが可能です。
例えば、1996年では、首都圏マンション契約率は、新規住宅資金貸付額よりも、一ヶ月早く、ピークアウトが確認され、2006年には、9ヶ月早く、確認されています。
以上の点から、首都圏マンション契約率は、新規住宅資金貸付額を補完する先行指標として、有効であることが確認出来ました。
5.単独指標としての首都圏マンション契約率
首都圏マンション契約率は、新規住宅資金貸付額の補完指標としてのみならず、単独でも、多くのわかりやすく有効な情報を示唆してくれます。
以下のグラフは、見やすさのために、首都圏マンション契約率(12ヶ月移動平均)から50ポイントをマイナスして、プロットしたものです。
以下に時系列で、グラフの動きを説明していきます。
(1)1994年から1995年にかけての契約率の低下
これは、1994年をピークとするマンションブームが終わったことを示しています。
バブル崩壊後、特に都心の地価の下落により、都心型のマンションが比較的に安価に供給することが可能になり、また、金利の低下も著しかったことから、マンションの販売が大きく伸びて、ブームとなりました。
この、グラフの動きからは、マンションブームの後に、本来、発生するはずだった景気後退が、その後の消費税増税により、強制的に後ろにずらされていることが、見て取れます。
(2)1995年から1996年にかけての契約率の上昇
消費税が3%から5%に増税される直前の住宅の駆け込み需要によるものです。
(3)1995年から1996年にかけての契約率の低下
消費税増税後の反動減によるもので、その後の金融危機につながる景気後退を先行して示しています。
(4)1998年から1999年にかけての契約率の上昇
金融危機を含む景気後退が終了して、景気回復期に入り、住宅需要が回復したことによるものです。
(5)1999年から2001年にかけての契約率の横這い
米国発のITバブル崩壊に伴う景気後退は、製造業に限定された局所的な景気後退であり、住宅や不動産などの非製造業への影響は、小さいものでした。そのため、通常、景気後退に先行して見られる、契約率の低下は発生しませんでした。
以下のグラフは、1994年からの米国の一戸建て住宅の販売件数の推移です。
日本と同様に、2000年のITバブル崩壊前に、住宅販売の落ち込みは見られず、ほぼ、横這いが続いていました。
(6)2003年から2006年にかけての契約率の上昇
ITバブル崩壊後の景気回復に伴う、住宅需要の回復を示しています。
(7)2006年から2008年にかけての契約率の低下
リーマンショック時の景気後退を先行して示しています。
特に、契約率の大幅な落ち込みが、景気悪化の深刻さを示唆しています。
これは、上の米国の一戸建て住宅の販売件数のグラフでも、見て取ることが可能です。
(8)2009年から2010年にかけての契約率の上昇
リーマンショック後の景気回復に伴う、住宅需要の回復を示しています。
(9)2011年から2012年にかけての契約率の低下
東日本大震災後の景気後退を先行して示している可能性があります。(以下の仮説を参照)
6.首都圏マンション契約率が日本単独の円高不況の先行指標となる可能性について(仮説)
これまで、日本単独の円高不況は、信頼できる先行指標が無いために、予測不可能であると考えていました。
しかし、上記のように、東日本大震災後の景気後退を首都圏マンション契約率が先行して、示唆していることから、以下のような可能性が考えられます。
(1)国内の需要家が大半の新築一戸建て住宅とは異なり、首都圏の新築マンションの購入者の中には、投資目的の海外投資家が一定の割合で存在する。
(2)為替が円高に振れると、これらの投資家は採算が悪化するために、購入を手控える。
(3)その契約率が低下し、住宅投資が減少する。
7.まとめ
以上のように、首都圏マンション契約率は、新規住宅資金貸付額の補完的な指標として、また、単独の景気後退の先行指標としても、有効であることが確認できました。
以下に、まとめとして、首都圏マンション契約率の指標としての利点と欠点を列挙しておきます。
【首都圏マンション契約率の利点】
(1)新規住宅資金貸付額とほぼ、同じ時期にピークアウトする。
(2)月次指標であることから、新規住宅資金貸付額よりも早いタイミングでピークアウトを確認できる。
(3)長期金利の影響を受けにくいため、上昇と下降のトレンドが、景気循環と一致し、分かり易い。
(4)海外投資家の動向が反映されるため、日本単独の円高不況の先行指標として機能している可能性がある。
【首都圏マンション契約率の欠点】
(1)対象が首都圏の新築マンション市場のみであり、全国の一戸建てからマンションまでを対象とする新規住宅資金貸付額と比べて、カバーする範囲が狭い。
(2)百分率で表現されるため、最終需要を金額の総額で表現する新規住宅資金貸付額と比べて、ボリューム感が把握し難い。
前回は、日本の住宅投資の主要指標である新規住宅資金貸付額を、補完する指標として、日本銀行が行っている主要銀行貸出動向アンケート調査の住宅ローン資金需要判断D.I. が、有効であることを確認しました。
今回は、別の補完指標としての首都圏マンション契約率の有効性を、確認してみます。
2.首都圏マンション契約率とは
マンション契約率とは、民間の不動産経済研究所が、首都圏や近畿圏における新築マンションの月間契約率を集計して発表しているもので、新築マンションの売れ行きを示す、基本的な指標となっています。
特に、首都圏マンション契約率は、日本のマンション市場の全体的な需給を示す主要な指標であると言えます。
3.首都圏マンション契約率の推移
以下のグラフは、1994年12月からの首都圏マンション契約率の推移です。
ノイズを減らすために、12ヶ月移動平均を求めて、表示しています。
比較のために、同じ期間での新規住宅資金貸付額の推移を求めたものが以下のグラフです。
2008年以降のグラフの形状は、やや、相違していますが、2008年以前のグラフ形状と、ピークの位置は、よく似ています。
また、新規住宅資金貸付額の方は、1994年4Qのピークのように、一回の景気循環の中で、長期金利の変化に同期した小さな循環を見せるのに対して、首都圏マンション契約率の方には、そのような小さな循環が無く、一回の景気循環の中で、(消費税増税時を例外として)ほぼ、一回の循環を示しています。
これは、新規住宅資金貸付額の方は、金利で制御される資金量の総額であるのに対して、マンション契約率の方は、需要と供給の間の相対的な強さを示す比率であることに関連すると考えられます。
すなわち、金利の変化によって、分母と分子の需要と供給の両方が同じ方向に動くために、金利の影響が表面化し難いと考えられます。
4.データポイントの比較
【首都圏マンション契約率】
1996年8月・・・83.77% 1回目のピーク =>1997年からの景気後退の先行指標
2006年4月・・・83.10% 2回目のピーク =>2008年からの景気後退の先行指標
2011年2月・・・78.95% 3回目のピーク =>2012年の景気後退の先行指標(仮説)
【新規住宅資金貸付額】
1996年2Q・・・45,507 1回目のピーク
2006年2Q・・・44,536 2回目のピーク
3回目のピークは無し
上のように、1996年と2006年は、ほぼ、同じ時期に両者がピークアウトしています。
すなわち、首都圏マンション契約率は、1997年からの景気後退(金融危機・アジア危機)と、2008年からの景気後退(リーマンショック時)の先行指標として、新規住宅資金貸付額と同様に有効に機能していたと考えられます。
(さらに、首都圏マンション契約率の3回目のピークアウトは、東日本大震災後の景気後退の先行指標としても機能しているように見えます。)
また、首都圏マンション契約率は、前月のデータが翌月に発表される月次指標であるため、四半期指標である新規住宅資金貸付額よりも、先行して、ピークアウトを確認することが可能です。
例えば、1996年では、首都圏マンション契約率は、新規住宅資金貸付額よりも、一ヶ月早く、ピークアウトが確認され、2006年には、9ヶ月早く、確認されています。
以上の点から、首都圏マンション契約率は、新規住宅資金貸付額を補完する先行指標として、有効であることが確認出来ました。
5.単独指標としての首都圏マンション契約率
首都圏マンション契約率は、新規住宅資金貸付額の補完指標としてのみならず、単独でも、多くのわかりやすく有効な情報を示唆してくれます。
以下のグラフは、見やすさのために、首都圏マンション契約率(12ヶ月移動平均)から50ポイントをマイナスして、プロットしたものです。
以下に時系列で、グラフの動きを説明していきます。
(1)1994年から1995年にかけての契約率の低下
これは、1994年をピークとするマンションブームが終わったことを示しています。
バブル崩壊後、特に都心の地価の下落により、都心型のマンションが比較的に安価に供給することが可能になり、また、金利の低下も著しかったことから、マンションの販売が大きく伸びて、ブームとなりました。
この、グラフの動きからは、マンションブームの後に、本来、発生するはずだった景気後退が、その後の消費税増税により、強制的に後ろにずらされていることが、見て取れます。
(2)1995年から1996年にかけての契約率の上昇
消費税が3%から5%に増税される直前の住宅の駆け込み需要によるものです。
(3)1995年から1996年にかけての契約率の低下
消費税増税後の反動減によるもので、その後の金融危機につながる景気後退を先行して示しています。
(4)1998年から1999年にかけての契約率の上昇
金融危機を含む景気後退が終了して、景気回復期に入り、住宅需要が回復したことによるものです。
(5)1999年から2001年にかけての契約率の横這い
米国発のITバブル崩壊に伴う景気後退は、製造業に限定された局所的な景気後退であり、住宅や不動産などの非製造業への影響は、小さいものでした。そのため、通常、景気後退に先行して見られる、契約率の低下は発生しませんでした。
以下のグラフは、1994年からの米国の一戸建て住宅の販売件数の推移です。
日本と同様に、2000年のITバブル崩壊前に、住宅販売の落ち込みは見られず、ほぼ、横這いが続いていました。
(6)2003年から2006年にかけての契約率の上昇
ITバブル崩壊後の景気回復に伴う、住宅需要の回復を示しています。
(7)2006年から2008年にかけての契約率の低下
リーマンショック時の景気後退を先行して示しています。
特に、契約率の大幅な落ち込みが、景気悪化の深刻さを示唆しています。
これは、上の米国の一戸建て住宅の販売件数のグラフでも、見て取ることが可能です。
(8)2009年から2010年にかけての契約率の上昇
リーマンショック後の景気回復に伴う、住宅需要の回復を示しています。
(9)2011年から2012年にかけての契約率の低下
東日本大震災後の景気後退を先行して示している可能性があります。(以下の仮説を参照)
6.首都圏マンション契約率が日本単独の円高不況の先行指標となる可能性について(仮説)
これまで、日本単独の円高不況は、信頼できる先行指標が無いために、予測不可能であると考えていました。
しかし、上記のように、東日本大震災後の景気後退を首都圏マンション契約率が先行して、示唆していることから、以下のような可能性が考えられます。
(1)国内の需要家が大半の新築一戸建て住宅とは異なり、首都圏の新築マンションの購入者の中には、投資目的の海外投資家が一定の割合で存在する。
(2)為替が円高に振れると、これらの投資家は採算が悪化するために、購入を手控える。
(3)その契約率が低下し、住宅投資が減少する。
7.まとめ
以上のように、首都圏マンション契約率は、新規住宅資金貸付額の補完的な指標として、また、単独の景気後退の先行指標としても、有効であることが確認できました。
以下に、まとめとして、首都圏マンション契約率の指標としての利点と欠点を列挙しておきます。
【首都圏マンション契約率の利点】
(1)新規住宅資金貸付額とほぼ、同じ時期にピークアウトする。
(2)月次指標であることから、新規住宅資金貸付額よりも早いタイミングでピークアウトを確認できる。
(3)長期金利の影響を受けにくいため、上昇と下降のトレンドが、景気循環と一致し、分かり易い。
(4)海外投資家の動向が反映されるため、日本単独の円高不況の先行指標として機能している可能性がある。
【首都圏マンション契約率の欠点】
(1)対象が首都圏の新築マンション市場のみであり、全国の一戸建てからマンションまでを対象とする新規住宅資金貸付額と比べて、カバーする範囲が狭い。
(2)百分率で表現されるため、最終需要を金額の総額で表現する新規住宅資金貸付額と比べて、ボリューム感が把握し難い。
2013年7月21日日曜日
日米の景気循環の比較 第22回 住宅ローン資金需要判断D.I.
1.前回までのまとめ
前回までに、日本の景気後退は、以下の3つの事象のいずれかを契機に、引き起こされることが分かりました。
(1)米国の景気後退
(2)日本単独での円高進行
(3)消費税増税時の住宅投資のピークアウト
それぞれの事象の予測可能性とその方法・対処については、以下のようにまとめられます。
(1)米国の景気後退
予測可能。米国の住宅指標やイールドカーブを使う手法が有効。
(2)日本単独での円高進行
予測不可能。ただし、日本国内で株価の大幅な下落や深刻な景気悪化につながらないため、株式投資の観点からは、予測する必要性は少ない。
(3)消費税増税時の住宅投資のピークアウト
予測可能。増税時期、もしくは、データからは、日本の新規住宅資金貸付額のピークアウトを、長期金利と比較分析することによる。(長期金利がピークアウトしない中で、新規住宅資金貸付額のピークアウトを観測した場合)
今回からは、(3)の消費税増税時の住宅投資のピークアウトを判定するための、主要な指標である新規住宅資金貸付額を、補完する各種の住宅関連指標を、分析していきたいと思います。
2.新規住宅資金貸付額の問題点
日本の住宅投資のピークアウトを判定するために、新規住宅資金貸付額を指標として使う場合、確認時期が遅れるという問題点があります。
例えば、ある年の1Qに新規住宅資金貸付額がピークアウトしていた場合、それを確認出来るのは、日本銀行から2Qの預金・貸出統計が発表される、その年の8月半ばとなり、約5ヶ月~7ヶ月の遅れとなります。
従って、新規住宅資金貸付額をより早く把握できる補完的な他の統計データがあれば、実務上、有効であると言えます。
3.主要銀行貸出動向アンケート調査
この主要銀行貸出動向アンケート調査は、日本銀行と取引のある国内銀行および信用金庫のうち貸出残高の大きい50 行を対象に、一年に4回(1月、4月、7月、10月)、貸出動向をアンケート形式で調査・発表しているもので、対象金融機関の貸出残高全体に占める貸出シェアは約75%に達しています。
この調査の中に、住宅ローンの貸出動向の調査が含まれており、住宅ローン資金需要判断D.I.というポイント形式でまとめられています。
この、住宅ローン資金需要判断D.I.が、翌月に発表される預金・貸出統計の中の新規住宅資金貸出額の動向を予測する上での重要な指標となります。
4.住宅ローン資金需要判断D.I.の推移
以下のグラフは、2001年4Qから2013年2Qまでの住宅ローンの資金需要D.I.の推移です。
季節要因などのノイズを減らすために、4四半期移動平均を計算して、プロットしています。
比較のために、2001年4Qから2013年1Qまでの新規住宅資金貸出額(4四半期移動平均)をプロットしたグラフが以下になります。
ボトムの位置がやや離れていますが、特に、ピーク付近で、両者の形状は、似たものとなっています。
5.データポイント
続いて、データの値で、住宅ローンの資金需要D.I.と新規住宅資金貸出額を比較してみます。
【資金需要D.I.】
2003年4Q・・・1回目のピーク
2004年4Q・・・1回目のボトム
2006年2Q・・・2回目のピーク
2009年4Q・・・2回目のボトム
【新規住宅資金貸出額】
2003年4Q・・・1回目のピーク
2004年4Q・・・1回目のボトム
2006年2Q・・・2回目のピーク
2011年3Q・・・2回目のボトム
【2回目のボトムの位置が異なっている理由】
資金需要D.I.がマイナスの範囲にある場合は、もし、改善方向に向かっている場合でも、実際の資金需要は、減少傾向を続けると推測されます。
上のグラフを比較しても、資金需要D.I.がプラスに転じた時点で、初めて、新規住宅資金貸出額が底を付けている点から、両者の動きが連動性を持つのは、資金需要D.I.がプラスの範囲にある場合に限られるのでないかと考えられます。
6.まとめ
主要銀行貸出動向アンケート調査の住宅ローン資金需要D.I.が、プラスの範囲内にあるときは、新規住宅資金貸出額との連動性が高い。
特に、新規住宅資金貸出額のピークアウトが近づいている状況では、その一ヶ月前に先行して住宅ローン資金需要D.I.がピークアウトする可能性が高く、住宅ローン資金需要D.I.は、新規住宅資金貸出額の先行指標としての利用価値が高い。
(1)米国の景気後退
(2)日本単独での円高進行
(3)消費税増税時の住宅投資のピークアウト
それぞれの事象の予測可能性とその方法・対処については、以下のようにまとめられます。
(1)米国の景気後退
予測可能。米国の住宅指標やイールドカーブを使う手法が有効。
(2)日本単独での円高進行
予測不可能。ただし、日本国内で株価の大幅な下落や深刻な景気悪化につながらないため、株式投資の観点からは、予測する必要性は少ない。
(3)消費税増税時の住宅投資のピークアウト
予測可能。増税時期、もしくは、データからは、日本の新規住宅資金貸付額のピークアウトを、長期金利と比較分析することによる。(長期金利がピークアウトしない中で、新規住宅資金貸付額のピークアウトを観測した場合)
今回からは、(3)の消費税増税時の住宅投資のピークアウトを判定するための、主要な指標である新規住宅資金貸付額を、補完する各種の住宅関連指標を、分析していきたいと思います。
2.新規住宅資金貸付額の問題点
日本の住宅投資のピークアウトを判定するために、新規住宅資金貸付額を指標として使う場合、確認時期が遅れるという問題点があります。
例えば、ある年の1Qに新規住宅資金貸付額がピークアウトしていた場合、それを確認出来るのは、日本銀行から2Qの預金・貸出統計が発表される、その年の8月半ばとなり、約5ヶ月~7ヶ月の遅れとなります。
従って、新規住宅資金貸付額をより早く把握できる補完的な他の統計データがあれば、実務上、有効であると言えます。
3.主要銀行貸出動向アンケート調査
この主要銀行貸出動向アンケート調査は、日本銀行と取引のある国内銀行および信用金庫のうち貸出残高の大きい50 行を対象に、一年に4回(1月、4月、7月、10月)、貸出動向をアンケート形式で調査・発表しているもので、対象金融機関の貸出残高全体に占める貸出シェアは約75%に達しています。
この調査の中に、住宅ローンの貸出動向の調査が含まれており、住宅ローン資金需要判断D.I.というポイント形式でまとめられています。
この、住宅ローン資金需要判断D.I.が、翌月に発表される預金・貸出統計の中の新規住宅資金貸出額の動向を予測する上での重要な指標となります。
4.住宅ローン資金需要判断D.I.の推移
以下のグラフは、2001年4Qから2013年2Qまでの住宅ローンの資金需要D.I.の推移です。
季節要因などのノイズを減らすために、4四半期移動平均を計算して、プロットしています。
比較のために、2001年4Qから2013年1Qまでの新規住宅資金貸出額(4四半期移動平均)をプロットしたグラフが以下になります。
ボトムの位置がやや離れていますが、特に、ピーク付近で、両者の形状は、似たものとなっています。
5.データポイント
続いて、データの値で、住宅ローンの資金需要D.I.と新規住宅資金貸出額を比較してみます。
【資金需要D.I.】
2003年4Q・・・1回目のピーク
2004年4Q・・・1回目のボトム
2006年2Q・・・2回目のピーク
2009年4Q・・・2回目のボトム
【新規住宅資金貸出額】
2003年4Q・・・1回目のピーク
2004年4Q・・・1回目のボトム
2006年2Q・・・2回目のピーク
2011年3Q・・・2回目のボトム
【2回目のボトムの位置が異なっている理由】
資金需要D.I.がマイナスの範囲にある場合は、もし、改善方向に向かっている場合でも、実際の資金需要は、減少傾向を続けると推測されます。
上のグラフを比較しても、資金需要D.I.がプラスに転じた時点で、初めて、新規住宅資金貸出額が底を付けている点から、両者の動きが連動性を持つのは、資金需要D.I.がプラスの範囲にある場合に限られるのでないかと考えられます。
6.まとめ
主要銀行貸出動向アンケート調査の住宅ローン資金需要D.I.が、プラスの範囲内にあるときは、新規住宅資金貸出額との連動性が高い。
特に、新規住宅資金貸出額のピークアウトが近づいている状況では、その一ヶ月前に先行して住宅ローン資金需要D.I.がピークアウトする可能性が高く、住宅ローン資金需要D.I.は、新規住宅資金貸出額の先行指標としての利用価値が高い。
2013年7月15日月曜日
日米の景気循環の比較 第21回 長期金利と住宅投資の関係 1990年の例
1.前回のまとめ
前回は、1995年前後の金融危機・アジア危機前の景気回復期における、日本の長期金利と住宅資金貸付額との関係を調べた結果、この時期は、消費税増税の影響で、長期金利による住宅投資の自律的な制御が効いていなかったことを確認しました。
今回は、1990年前後の不動産バブル崩壊前の景気回復期における、日本の長期金利と住宅資金貸付額との関係を調べてみます。
2.長期金利
以下のグラフは、1987年1月から1991年12月の日本の長期金利の推移です。
各月の月末の利回りをプロットしたものです。
データ源泉:HSCI
1980年代後半は、バブル景気が加熱した時期で、長期金利も、4%台から徐々に切り上がり、1回目のピークは、1987年9月に、6.307%を付け、一旦、4%台後半に低下した後、1990年9月に、8.105%で2回目のピークを付けた後に、バブル崩壊が崩壊し、景気後退によって、長期的に下落を続けていきました。
5.時系列分析
当時の状況を時系列的に詳細に振り返ると、以下のようになります。
1988年8月の半ばの日銀の統計発表で、1回目の新規住宅資金貸付額のピークを確認。
↓
8月末時点の長期金利は、5.615%と直近のピーク(前年9月の6.307%)から1%弱低下。
↓
その後、1988年末には、長期金利は、4.611%まで低下。
↓
●1988年の末時点では、長期金利の上昇→住宅投資の減少→景気の減速→長期金利の低下という流れが確認され、長期金利と住宅投資が同期的に動いていることから、長期金利による住宅投資の自律的な制御が効いており、景気はコントロールされた状態にあると判断できた。
3.新規住宅資金貸付額
以下のグラフは、上の長期金利と同じ期間(1987年1Qから1991年4Q)の新規住宅資金貸付額の4四半期移動平均の推移です。
1回目のピークは、1988年1Qに2兆6537.5億円で、2回目のピークは、1989年4Qに2兆8665.25億円で付けた後、右肩下がりで、2兆円を下回って行きました。
一見すると、長期金利のグラフと似た形状ですが、1回目のピークのずれが2Q、2回目のピークのずれが3Qと、2回目の方が大きくなっています。
4.データポイント
次に、データの値で上の期間中の長期金利と新規住宅資金貸付額を比較してみます。
【長期金利】
1987年5月・・・3.78% 左側のボトム
1987年9月・・・6.307% 1回目のピーク
1988年12月・・・4.611% 中間のボトム
1990年9月・・・8.105% 2回目のピーク
1993年12月・・・3.413% 右側のボトム
【新規住宅資金貸付額】
1983年3Q・・・6919.5 左側のボトム
1988年1Q・・・26537.5 1回目のピーク
1988年4Q・・・23219.5 中間のボトム
1989年4Q・・・28665.25 2回目のピーク
1991年3Q・・・19128.25 右側のボトム
上のように、1回目のピークは、長期金利が2Q右側にずれていました。
一方で、2回目のピークは、長期金利が3Q右側にずれていました。
5.時系列分析
当時の状況を時系列的に詳細に振り返ると、以下のようになります。
1988年8月の半ばの日銀の統計発表で、1回目の新規住宅資金貸付額のピークを確認。
↓
8月末時点の長期金利は、5.615%と直近のピーク(前年9月の6.307%)から1%弱低下。
↓
その後、1988年末には、長期金利は、4.611%まで低下。
↓
●1988年の末時点では、長期金利の上昇→住宅投資の減少→景気の減速→長期金利の低下という流れが確認され、長期金利と住宅投資が同期的に動いていることから、長期金利による住宅投資の自律的な制御が効いており、景気はコントロールされた状態にあると判断できた。
↓
1990年5月の半ばの日銀の統計発表で2回目の新規住宅資金貸付額のピークを確認。
↓
5月末時点では、長期金利は、6.263%と直近のピーク(同年3月の6.816%)から0.3%程度の僅かな低下に留まっていた。
↓
その後、長期金利は、急上昇して、2ヶ月後の7月末には、7.023%と5月末から約1%上昇。
↓
●1990年7月末時点では、住宅投資が既にピークアウトしている中で、非同期的に、長期金利が急上昇しており、長期金利と住宅投資の自律的な制御が効いておらず、近い将来の景気の失速が予測出来る状況であった。
↓
さらに、2ヶ月後の9月末には、8.105%と、5月末からの約4ヶ月間で2%も上昇して、2回目のピークを付けた。
↓
翌1991年2月をピークに景気後退入り。
【2回目の長期金利のピークアウトが遅れた理由】
・バブル景気の加熱によって、資産価格の上昇が金利コストの上昇を大きく上回り、長期金利の上昇による投資の抑制が効かなかった。
・消費税導入の直前であり、住宅以外にも、耐久消費財などに駆け込み需要が発生していた。
・バブル景気の加熱によって、資産価格の上昇が金利コストの上昇を大きく上回り、長期金利の上昇による投資の抑制が効かなかった。
・消費税導入の直前であり、住宅以外にも、耐久消費財などに駆け込み需要が発生していた。
6.まとめ
1990年前後の景気回復期では、新規住宅資金貸付額と長期金利の2回のピークのうち、1回目は、両者が同期的に動き、景気後退入りが避けられましたが、2回目は、バブル景気の加熱等により長期金利のピークアウトが遅れ、景気後退に陥りました。
1990年前後の景気回復期では、新規住宅資金貸付額と長期金利の2回のピークのうち、1回目は、両者が同期的に動き、景気後退入りが避けられましたが、2回目は、バブル景気の加熱等により長期金利のピークアウトが遅れ、景気後退に陥りました。
このように、新規住宅資金貸付額と長期金利との同期・非同期の状況を調べることによって、住宅投資の失速による日本の景気後退入りをかなり正確に予測することが可能であると言えます。
2013年7月7日日曜日
日米の景気循環の比較 第20回 長期金利と住宅投資の関係 1995年の例
1.前回までのまとめ
前回までに、2000年前後と2006年前後の二度の景気回復では、長期金利と住宅資金貸付額が、小さな循環を作りながら、ほぼ、同期的に上下して、長期金利による住宅投資の自律的な制御が効いていたことを確認しました。
今回は、1995年前後の金融危機・アジア危機前の景気回復期における、日本の長期金利と住宅資金貸付額との関係を調べてみます。
2.長期金利
以下のグラフは、1994年1月から1998年12月の日本の長期金利の推移です。
各月の月末の利回りをプロットしたものです。
データ源泉:HSCI
3.新規住宅資金貸付額
以下のグラフは、長期金利と同じ期間(1994年1Qから1998年4Q)の新規住宅資金貸付額の4四半期移動平均の推移です。
長期金利とは異なり、新規住宅資金貸付額は、1996年2Qに4兆5千億円で、大きなピークを付けた後、景気後退に向かうにつれて、3兆円強まで下落し、その後、安定した水準で推移していました。
1995年から1996年にかけて、新規住宅資金貸付額が大きく上昇に転じている理由は、1997年4月からの消費税の3%から5%への増税が決定したことにより、住宅の駆け込み需要が高まったためです。
このように、金融危機・アジア危機前の景気回復局面では、長期金利と新規住宅資金貸付額が、異なった形で推移していました。
4.データポイント
次に、データの値で上の期間中の長期金利と新規住宅資金貸付額を比較してみます。
【長期金利】
1993年12月・・・3.933% 左側のボトム
1994年8月・・・4.823% ピーク
1997年3月・・・2.474% 右側のボトム
【新規住宅資金貸付額】
1993年3Q・・・17124.25 左側のボトム
1996年2Q・・・45507 ピーク
1997年1Q・・・32884 右側のボトム
上のように、両者の左右のボトムの位置は、ほぼ、同じですが、新規住宅資金貸付額のピークが約2年近く、後方にずれています。
この期間は、長期金利の上昇による住宅投資の自律的な抑制が効かず、消費税増税前の駆け込み需要が、金利コストを無視した形で、非常に強かったと言えます。
5.分析
1990年代半ばから後半にかけては、まだ、バブル崩壊の負の影響が残る中で、1994年に消費税の増税が決まりました。その結果、長期金利が1994年8月にピークアウトした後も、金利コストを無視した住宅投資の高まりによって、景気がかろうじて支えられていたと考えられます。
このように、長期金利と住宅投資(住宅資金貸付額)が、同期しない景気回復パターンの場合(主に、消費税の増税時)は、住宅資金貸付額がピークアウトすると、その後、比較的に深刻な景気後退に陥ると考えられます。
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