前回は、2008年の米国の景気後退における、米国の株価とイールドカーブの関係について、述べました。
今回は、米国の景気後退の先行指標として、イールドカーブとともに、代表的な指標である住宅統計との関連について、前回と同様に、2008年の景気後退を例に挙げて説明します。
以下のグラフは、1982年5月12日からの米国債イールドカーブの推移です。(前回、既出)
また、以下のグラフは、米国の住宅統計の中で、主要指標の一つである住宅着工戸数の2002年1月から2010年12月の推移です。トレンドを分かりやすくするために、12ヶ月移動平均をプロットしています。
グラフ上のXの文字の位置が、逆イールドが初めて発生していた日付(2006年3月29日)です。
この、逆イールド発生とほぼ同じ時期に、住宅着工戸数がピークアウトしており、両方の指標が、米国の景気後退を示唆していたことが分かります。
ただし、実際の住宅着工戸数のピークアウトを確認出来たのは、住宅着工戸数が大きく減少した後の、グラフ上のYの文字の位置(2006年10月分)のデータ公表時点であり、カレンダー日付では、2006年11月半ばだったと考えられます。
このように、住宅着工戸数は、景気後退の先行指標として、イールドカーブと同様の精度を持っていますが、一般的な統計データと同様に、ピークアウトの確認は、事象の発生から、4~6ヶ月後となります。
それに対して、逆イールドは、日次データの分析によって、事象の発生した当日に確認出来るという、有利な特徴を持っています。イールドカーブは、実務上、最も早期に米国の景気後退を知ることが出来る、優れた先行指標であると言えます。
次回は、イールドカーブと日本の景気後退の関係について、また、2008年を例に説明したいと思います。
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