2015年9月6日日曜日

投資観 第5回 2001年の米国の景気後退と逆イールドの関係

前回は、2008年の日本の景気後退と米国債イールドカーブの関係について、述べました。

今回は、年代を遡って、2001年の米国の景気後退とイールドカーブならびに米国の株価の関係について、述べます。

以下のグラフは、1982年5月12日からの米国債イールドカーブの推移です。(既出)


また、以下のグラフは、米国の代表的な株価指数であるS&P500指数の、1998年1月から2003年12月までの月次終値の推移です。

この期間中の最初の米国債イールドカーブ(90日移動平均)の逆転は、2000年7月7日に出現しました。
この月のS&P500指数(月次終値)は、1430.8でした。

この月に、S&P500指数を売却した場合のパフォーマンスを機会損失と損失回避の差として、算出すると以下のようになります。

機会損失・・・景気後退入り前の最高値である2000年8月の1517.7ポイントまで、保有しなかったことによる利益機会の損失。

  (1517.7 - 1430.8) ÷ 1430.8 × 100% = 6.0

損失回避・・・景気後退期間中の最低値である2001年9月の1040.9ポイントまで保有しなかったことによる損失の回避。

  (1040.9 - 1430.8) ÷ 1430.8 × 100% × (-1) = 27.2

投資パフォーマンス = 損失回避 - 機会損失 = 21.2

グラフを見ても分かるように、逆イールドの発生が、株価の最高値に近かったため、逆イールドを契機にした株式投資のパフォーマンスも、良い結果が出ています。

以上のように、2001年の米国の景気後退においても、イールドカーブは、景気後退の先行指標としてだけではなく、株式投資(売却)の良い指標となっていたことが分かります。

次回は、同じく、2001年の米国の景気後退における、住宅統計など他の先行指標について、予測精度等を調べてみます。

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