2013年7月11日木曜日

原油需給から見るエジプトの危機の原点



現在、政治的な混乱が続いているエジプトについて、長期的な原油需給を分析すると、危機の原点が浮かび上がります。


上の最初のグラフは、エジプトの1980年から2012年までの原油生産量の推移です。



EIA(米エネルギー庁エネルギー情報局)のサイトから取得しました。
EIA Countries


エジプトの場合、1995年を過ぎてから、原油生産量は、右肩下がりで急速に減少し、現在は、1995年当時の6割程度に低迷しています。


上の二番目のグラフは、エジプトの1980年から2012年までの石油消費量の推移です。


エジプトの場合、人口の増加によって、石油消費量は、右肩上がりで急速に増加し、現在は、1995年当時の約二倍に拡大しています。



上の三番目のグラフは、エジプトの1980年から2012年までの輸出量から輸入量を差し引いたネットの石油輸出量の推移です。


生産が低迷し、国内消費が拡大した結果、1995年を過ぎてから、ネットの石油輸出量は右肩下がりで急減し、2000年代後半に、ほぼ、輸出量がゼロになった後、現在は、ネットで石油輸入国に転落しています。


エジプトのムバラク政権は、石油の輸出で獲得した外貨を、燃料や食糧に換えて国民にばら撒くことによって、国民の不満を懐柔して、長期政権を維持してきました。
しかし、石油の輸出量がゼロになり、外貨を獲得できなくなった結果、国民の不満を抑えることは出来なくなり、政権の崩壊に至り、現在の政治の混乱に続いていったわけです。

0 件のコメント:

コメントを投稿