2013年7月12日金曜日

原油需給から見る危機の原点 シリア編




昨日の記事で、エジプトの危機の原点が、既に、1995年から始まっていた原油需給の逼迫化にあることを明らかにしました。


本日は、エジプトと同様に混乱が長期化しているシリアについて、やはり、長期的な原油需給の観点から分析を加えてみます。


上の最初のグラフは、シリアの1980年から2012年までの原油生産量の推移です。



EIA(米エネルギー庁エネルギー情報局)のサイトから取得しました。
EIA Countries


シリアの場合、1996年をピークに、原油生産量は、右肩下がりで急速に減少し、内戦が始まる前の2010年には、1996年当時の6割程度に低迷していました。


上の二番目のグラフは、シリアの1980年から2012年までの石油消費量の推移です。


シリアの場合も、エジプトと同様に、人口の増加によって、石油消費量は、右肩上がりで急速に増加し、2010年には、1996年当時の約1.4倍に拡大しています。



上の三番目のグラフは、シリアの1980年から2012年までの輸出量から輸入量を差し引いたネットの石油輸出量の推移です。


生産が低迷し、国内消費が拡大した結果、1996年をピークに、ネットの石油輸出量は右肩下がりで急減し、2010年には、ピークの2割強の水準まで、落ち込んでいました。


上の四番目のグラフは、1980年から2010年までのシリアの人口の推移です。




原油生産のピークである1996年から、内戦直前の2010年にかけて、シリアの人口は、約1.42倍に増加しています。



シリアのアサド政権も、エジプトのムバラク政権と同様に、原油需給の逼迫化から、石油の輸出で外貨を獲得することが出来なくなり、独裁政治に対する、国民の不満を抑えられなくなったと考えられます。

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